神棚はご家庭のなかにある「小さな神社」のようなものですので、その多くが実際の神社建築の様式を取り入れた形状となっています。
お祀りする神様の系統が異なれば神社の建築様式が異なるように、神棚の選び方についても、大黒様やお稲荷様など、専用のものを求める配慮が必要となる場合があります。
都道府県の神社庁に属している一般的な神社から頒布された御札をお祀りする場合には、白木に切妻屋根の神明造りとよばれるオーソドックスな形状の神棚を用います。これは、屋根の先端に千木という2本の突起があり、棟上には堅魚木を並べたもので、伊勢神宮の建物を模したものですが、伊勢地方では屋根を茅葺きにしたものも用いられています。
恵比寿・大黒は神道でいうところの事代主神・大国主神と同体とされていますが、仏教において祀られることも多いことから、神棚の形状も、屋根の合掌部を丸みを帯びた仏教建築に近いデザインとするものが多いようです。
出雲大社を中心として信仰される大国主神としてお祀りする場合は、大社造りとよばれる、扉や階段の位置が中央よりも右に偏ったデザインのものを用いることもあります。
稲荷神については、狐の御眷属が多く、また位によって御札の寸法も異なることから、他の神社の御札とは別々にして、格子戸のあるものや神具を朱塗りとしたものなど、専用の神棚が用いられます。